スイッチ、オン



「あの、くく先輩」
「ん?」
「もう少しサイズの小さいやつって、あったりしません…よね?」

シャワーを浴びてさっぱりした様子のだけれど、着替えにと渡したトレーナーのサイズが合わないせいか、襟ぐりが肩の方へ下がってしまうのをしきりに気にしているようだった。…ついつい、ちらりとのぞく首筋から鎖骨あたりに目を向けてしまうのは、悲しい男の性だよなあ。

「…急だったしなあ」
「ですよね…。あの、すみません」
「いや、気にしないでいいよ」

今度泊まりにきてくれた時のために、のものを買いに行ったほうがいいのかもしれない。日用品とか、着替えとか、色々と。

「…あの、くく先輩、まだ寝ないんですか?」

しばらくのんびりとした後、ベットに腰かけたままこちらを気にするの方をなるべく意識しないようにして、資料の作成画面を睨む。……がシャワーを浴びている間、ほとんど進まなかったなんてことは、絶対に気づかれないようにしないと。

「まだ資料が出来上がってないからな。…もしかして、明るすぎると眠れないとか?」
「いえ、そうじゃなくて…あの、ベット、本当に使っちゃっていいんですか?」
「予備の布団とかもないしな」

というか、すぐそばでが寝るとかさ。…うん、なんていうか、今日は徹夜かな、とか考えていると、きゅっと袖口を握られた。どうかしたのか?と思ってを見てみれば、うつ向いたままじっと動かない。

「どうした?」

具合でも悪いのだろうかと思って覗きこんでみれば、うっすらと赤に染まった顔。少しうるんで見えるのは、きっとが眠いからなんだ。

「その、あんまり遅くまで起きてるのも、身体に悪いです…よ?」

そのまま、ゆっくりと腕を引かれて、なにかを決意したようなの顔に、さすがに察した。



…うん。まあ、使わないだろうと思いつつも、買っておいたものとか、あるけど。
このまま、いたしてしまっていいものやら、悩む。



「そ、それに、その…こんなに近くにいるのに、なんか…寂しい、です」

その一言に、まだほんのりと温かさが残る体を抱きしめたくなるのは、きっと俺の体が冷えているからだろう。




12.02.21

理性の崩壊、一歩手前?