嫌なことあったよ



「…なにかあったんですか?」

仕事から帰ってきて早々、わたしの足元へと座り込み、盛大なため息をついてこてん、と頭を膝にもたれるくく先輩に、少しだけびっくりした。

「……なんでもないよ」

レポートを書いていた手を止めて顔を覗き込んで見るけれど、まぶたを閉じてしまっているせいかよく分からない。とりあえず、すごく疲れているんだろうな、ということだけはわかったけど。

「ごはん、できてますよ」
「うん」
「おふろも、今、張ってるところです」
「…うん」

わたしよりもお兄さんなくく先輩が、年下の男の子みたいに甘えてくるのなんてはじめてのことで。なんとなく、くく先輩の指通りの良い、だけど、少しクセのある髪を撫でる。

「お疲れさまです。…へーすけ先輩」
「ん……」

へにゃりと緩んだ先輩の顔。年上の男の人なのに、かわいいな、なんて、思ってしまった。




12.02.21

そんなときだって、ありますよ