うまれてから、2ねんのつきひがたちました。 おれもようやくじぶんでたったりはしったり、いしのそつーができるようになって、ルンルンだ。ついでに、いろんなことをかんがえるじかんもふえて、さらにテンションはあがった。 だってさー、あかんぼうのころは、ねてるかおっぱいのんでるかないてるかだったんだもんな。かんがえごとしてても、いつのまにかねおちしてて、なーんにもおぼえてねえんだもん。やさぐれたくもなるってもんだ。 「おとうさーん、おかあさんのおへや、どこお?」 おきにいりのウサちゃんリュックをしょったおれは、おやじとつないだてをげんかいまでひっぱってエレベーターのフロアあんないをみた。いちどおとなをけいけんしているから、ちゃんとしてんさえあえばらくらくよめるんだが、ずいぶんあんないがとおくてよくみえない。かろうじてよめたぶぶんも、しゅっさんをおえてへやでやすんでいるおふくろがどこにいるかなんてのはかいてないしな。 「こら、そんなに急ぐと危ないぞ」 あたまにむだにじゅうしんがよってあぶなっかしいおれをかかえるようにしておやじがたちあがる。おとされないようにギュッとシャツをにぎると、おやじは「そんなに引っ張るなよ。苦しいんだから」とわらった。 「お母さんに会う前に、静雄に会いに行くか?」 「うん、いく!」 だっこされたまま、うまれたばかりのあかちゃんがならぶばしょへつれていってもらう。ガラスを1まいへだてたむこうがわには、たくさんのあかんぼうが、うごうごしていた。なんかてあしがはえたいもむしみたい。 みんなまだくべつがほとんどつかなくて、あしのうらにマジックでぶっとく「平和島」とかかれたあかんぼうをおやじとさがす。 「お、いたいた。ははは、静雄、元気だなあ」 おれの2つしたのおとうととなるこのあかんぼうは、ついこのあいだ、おやじがめいめいした。いいなまえだ。おれは、せなかにしょってたウサちゃんリュックをいそいそとおろし、ガラスにおしつけてやった。 「なんだ、ウサ子も静雄が生まれて喜んでくれてるのか?」 「うん!」 いっておくが、いつでもどこでもこのウサちゃんリュックをもちあるいているのはおれのしゅみではない。おれのたんじょうびにおやじがかってきてくれたものだ。つかわないのもかわいそうだろうとおもってつかっているうちに、おれの『こども』のぶぶんがものすごくきにいって、いらい、どこにいくにもつれあるいているのだ。 さいしょのうちは、こんなこどもっぽいものやだなあっておもっていたんだが、せいしんてきにはおっさんのくせに、からだがこどもなもんだから、それにぐいぐいひきずられるようにおれのせいしんってやつがこどもにもどってきているようだ。おとなとしてのりょーしきやぶんべつがきえうせるひもちかいのかもしれない。まあ、そんときゃまたおぼえていけばいいんだけどな。 「そうか。…ももうお姉ちゃんだもんなあ。しっかりしないといけないな」 そう!なによりおれがガックリしたのはそこなんだよ! うまれてしばらくしてからはねたりおっぱいのんだりのくりかえしだったからよくわからなかったんだが、さいあくなことにおれはあのとききぐしていたようにオンナノコとしてうまれてきちまったらしい。 またのあいだになれしたしんだかんかくがどうにもねえなー、ちびになったからちぢんだのかな。ははっ、カンベンしてくれよとかおもってたのにつるんとないってどうなんだ。もうあれだ。まえにいきてたときに、せいりつうのひどいおくさんからのろいをかけられたにちがいない。 「しっかりしてるよ、おとーさんのほうがダメダメだよ」 「そんなことないだろ?お母さんがいなくても、ちゃんと家事だってやれてるんだし」 「レンジでチンはおりょうりじゃないし、せんたくものだって、こないだティッシュがいっぱいくっついてたし……」 ちっちゃいてのひらでゆびをおりながらあげていくと、おやじはあわてて「シー!シー!母さんには内緒なんだからな!」とばたばたした。かわいいやつだなあ、ほんと。たよれるだんなでいたいんだろう。まあたぶんおふくろにはバレてそうだが。 「、のどかわいたな〜」 おんなになっていろいろかんがえたけれど、あんがいコレ、いいのかもしれないよな。じぶんのきるふく1つとってみたって、おんなものってあちこちにあるし、すげーたかいみせからすげーやすいみせまであるからな。あとわりびきおおいし。そうかんがえたら、おんなのじんせいっていうのもいいのかもしれない。れんあいかんけいだけはかんぜんにアウトだけど。 「…どこでそういうの覚えてくるんだかなあ…ったく、ジュースだけだぞ」 「やったあ!」 ぴょん、とはねておやじにだきあげてもらうと、おれはガラスごしにもういちどしずおをながめて、バイバイ、とてをふる。さっきまでげんきにあばれまわっていたしずおは、いまはすっかりねむたそうなうごきで。ぱたりとうごいたちっちゃなてが、なんだかバイバイをかえしてくれたみたいで、ちっちゃな『こども』のおれは、じんわりとうれしくなったのだった。 11.01.13 |